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第4回『空き家の問題を解決する方法を考える』レポート

先月から開催してきた旧野外活動センター(通称ヤカツ)の連続ワークショップの最終回、第4回を開催しました!

エンジョイワークスさんとYADOKARIさんの息の合ったチームワークによる充実した講演+ワークショップを開催頂き、肌寒い日ではありましたがアツい一日になりました。レポーターは内田です、今回もよろしくお願いします。

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後半ワークショップの様子

【概要】

  • 日時:2016/3/12(土) 13:00〜16:00
  • 内容
    • YADOKARI 活動、業務内容と参考事例について
    • エンジョイワークス 活動、業務内容について
    • 4チームに分かれてのワークショップ「ヤカツで事業計画・収支シミュレーション」
  • 参加無料
  • 参加者約20名、関係者約10名、スタッフ4名、コーディネーター1名
  • 主催:関東学院大学
  • 協力:逗子文化の会、逗子クリエイターズ、エンジョイワークス、YADOKARI

YADOKARI さわだ氏、ウエスギ氏

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YADOKARI さわだ氏

YADOKARIからは代表のさわだ氏、代表のウエスギ氏にワークショップの前のアイスブレイクも兼ねて、お話頂きました。

「未来住まい方会議」豊かさとは、幸せとは?

まず、YADOKARIの中心となっているウェブメディア、「未来住まい方会議」について。「未来住まい方会議」では世界中の小さな家、新しい暮らし方などを紹介していらっしゃいます。すでに紹介数は3000件ほどあり、個人が建てた家から空き家の再生、インタビューなど様々な記事が掲載されています。

15年後の2030年には、人口が減り空き家化が進んでいった結果、自分の家の両隣が空き家になっているかもしれないほどだそうです。その問題を、暗くなってしまいがちだけれど、わくわくしながら考えたい、その意味で今日は良い機会になるとおっしゃっていただきました。

YADOKARIは震災後に忙しく働き、家族で過ごす時間が少ないことに疑問を抱いて議論した結果、ボトルネックになっているのが住宅コストであるというひとつの結論に達して始まったそうです。

北欧では自分で郵送されてきて組み立てられる小屋、日本の有名建築家 中村好文による小屋のようなオフグリッドハウス、アメリカで中古のバスをキャンピングカーのように改造して移動しながら住んでいる家族など、既成概念に囚われない暮らし方を写真を交えながら紹介頂きました。

「いま、出てきたところ全部先進国なんですね。発展途上国でないというところがキーワードです。(中略)豊かさってなんなんだ、幸せってなんなんだと考える方が世界で増えてきているということなのではないかと思います。」

メディアの他に、小屋販売、不動産紹介サイトも

未来住まい方会議の延長上で、自分たちが住みたい小屋の販売や埋もれてしまいがちな空き別荘・空き家を紹介するサイトも運営されています。

また、「サポーターズ」と言われる会員が2500名ほども集まっていて、その中でプロジェクトを行っているそうです。旧野外活動センターの現在の状況についても、コミュニティを作っていることが良いことだとおっしゃって頂きました。

ヤカツの参考になりそうな、全国の事例

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YADOKARI ウエスギ氏

ここ、旧野外活動センターの活用に参考になりそうな注目の全国の事例を簡単に紹介頂きました。

  • 中銀カプセルタワー(50年前からミニマリズム!YADOKARIでは安く借りてDIYした)
  • ロックヒルズ ガーデン(YADOKARIでプロデュース、屋上に楽しめるスペースを作ったり、ドミトリーパッケージをデザインしたり!)
  • 沢田マンション(高知県のとある夫婦がセルフビルドしたマンション!)
  • MAD city(千葉県。かなり論理的にまちづくりを考えて空き家再生などに取り組んでいる)
  • よこはまクリエイティブシティ(まちづくりのコアとしてクリエイターを積極的に誘致している)
  • Nipponia(兵庫県。街に点在する空き家を使ってそれらを合わせてひとつのホテルとして運営している。)

問題にフォーカスするのではなく「リデザイン」する

問題を解決しようというスタンスでいると暗くなってしまったり息苦しくなってしまう、当事者が楽しんでやることで人が集まってくる、というこれまでいろいろなプロジェクトをこなされてきた中で実感しているという秘訣を教えて頂きました。

エンジョイワークス 代表 福田氏、設計部部長 濱口氏

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エンジョイワークス さわだ氏

鎌倉の由比ヶ浜通りにあるエンジョイワークスから、代表の福田氏と設計部部長の濱口氏に活動と業務の内容をお話頂きました。

桜山シェアアトリエ

イベントの中で、参加者から「アトリエ的なスペースが欲しいけどなかなか良いスペースが見つからない」という悩みに対して、「そんな物件ねーよ会議」を開催したところ、同席した入居希望者・投資家・エンジョイワークスでニーズ、収支、場所などを考えた結果実現したプロジェクト。

スケルトンハウス

30年後に良い中古になるように、という考え方で設計されている新築住宅。

葉山小屋ヴィレッジ

葉山の良い所にあるとても高い土地の仲介を頼まれていたところ、なかなか借り手が付かない中で、YADOKARI小屋部と一緒に空き地に小屋をたくさん建て、小商いの方に貸すという期間限定のイベントを開催。

ユイガハマルシェ

鎌倉でお店をやりたいという方は多いけど、そのぶん短い期間でも閉店も多いのが気になっていたため、商店街の駐車場を週末だけマルシェにしてそういう方にお試しで開店してもらうイベントを開催。

実際にどんなお客さんが来るか、できそうか、売上がどうだったかを考えることができ、より良い形で物件を紹介できる。

空き家再生プラットフォームを作成中

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エンジョイワークス 福田氏

空き家再生をエンジョイワークスでも取り組んできたが、その中でハードルになりがちな「空き家を持っている人ー使いたい人ーアイデアがある人ークラウドファンディングーDIYしたい人、知識がある人」を一同にマッチングし合えるウェブサービス。

ヤカツで事業計画・収支シミュレーション ワークショップ

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ワークショップの様子

そしていよいよ、エンジョイワークスさんが用意してくれた、「ヤカツで事業計画・収支シミュレーションを立ててみよう!」のワークショップです。

ここでは4チームに分かれ、ヤカツにどのような役割を与えてどのような家賃で貸出し、利用料をとる、カフェの売上などの「収入」と、改修費などの「初期投資」、人件費、広告費などの「出費」を差し引きどのくらいの利益で運営をまわしていけるかを考えました。

エンジョイワークスさんが用意してくれた周辺の家賃相場や工事の目安金額一覧があるものの、参加者みんながはじめての利益をあげるにはどうしたら、ということを考え、あーでもないこーでもないと話し合いは白熱。

結論はそれぞれ発表しました!

  • 黄色チーム「アウトドア活動の拠点に!」
    ヤカツをサーフィンやヨット、ハイキングなどのアウトドア活動が好きな人、やってみたい人の拠点にするということにして、カフェ・シェアオフィス・リペアスペース・住居賃貸にするプラン。
    気になる収支は、利益を追求しすぎてしまったのか、年間収支と初期投資が1年半で0になるほどの利率が!
  • 緑チーム「いろいろな人が集まる場所に!」
    公益性の高い企業に広いスペースを貸し、低層部にカフェ・託児所・高齢者向けサービスに貸し出すプラン。屋上には芝生、テントを建てたい!
  • 青チーム「防災+住民と外からの観光客の交流拠点に!」
    3階に防災倉庫を置くという防災拠点としての側面と、カフェ・観光案内所・コインシャワー・サーフボードロッカー・住居賃貸という交流拠点としての側面を掛け合わせたプラン。
    特筆すべきは、住居賃貸に最初はアーティストに安く住んでもらいながらDIYしてもらい、その後そこを「アーティストがデザインしたホテル」にするという画期的アイデア!
  • 赤チーム「逗子新地。」(・・・!?)
    話し合い時間中、かなり盛り上がっていた様子だった赤チーム。題名「逗子新地。」として「なんかあやしい感じで」、1階に温泉を掘った銭湯!屋上に露天風呂!そのあとに飲めるスナックにスペースを貸すプラン!
    銭湯にかなりのお金がかかるものの、この近辺にはまったくない銭湯を建てることでかなりの集客を見込み、良い感じの収支計画に落ち着いていました!(!?)

ワークショップをしてみて・・・

ヤカツの資金調達は現在もすべて未定で、どうしていくか、がかなり大きな課題です。そんな中、とりあえずの試しとしてでも一度収支計画を立ててみたことでなんとなく見えてきたものがある気がします。

ヤカツに限らず、参加者の皆様にも一つの建物、もしくはテナントスペースを運営することの収支計画をどう組み立てるかの参考になったと思います。今までなんとなく高いなと思っていた家賃からコーヒーの値段までもが、それらを継続するために必要な経費であることがわかりました。

最後に、逗子クリエイターズ 加藤より
「これからどれだけ本気の人が集まるかが鍵!」

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本日のゲストと加藤(中央)

連続ワークショップの締めくくりとして、今後にこの活動を続けていくため、逗子クリエイターズ 加藤から締めの一言を。

「今日もたくさんの発想、アイデアが出て、この旧野外活動センターは夢のある施設だと思っています。今の段階では課題や背景を抜きにして、ただアイデアを言い合っているだけですが、今後はどう実現するかというフェーズに入っていきます。

 本当にできるのか、誰がやるのか、どこからお金が出るのか、ということをこれから行政に示さなければいけない段階になります。どれだけこれに本気を出す人がいるのかというところが大事になってきます。本気な人が集まれば、お金も集まるのではないかと思っているので、まずは人に集まってもらいたいです。

 どんどん一緒に関わってやりたい、住みたい、という人がどれくらい集まるかが鍵になります。銭湯やスナックでも、本気でやりたいという人が集まれば実現に近づいていくので、本気の人はぜひ本気でお力を貸してください。」

また、参加者の方から、今後の活動について「進捗をこまめに発信してほしい」との声を頂きました。ありがとうございます、ぜひそうさせて頂きます!

「旧野外活動センター 連続ワークショップ」は今回でおしまいですが、今後も活動は続けていきますので、引き続きフェイスブックページをチェックしてください。

また、本気の方のご連絡もぜひぜひ下記フェイスブックからお願いします!

逗子市旧野外活動センターの再生プロジェクト!